セントノア病院

こころのこもった医療と介護を実践し、患者様の「安全の場」づくりに全力で取り組んでいます。
川越セントノア病院 春日部セントノア病院
  • 2016年7月1日 『年金制度は大丈夫?』

    当院の職員の定年は開院当初から65歳。別に安倍さんの「一億総活躍」のフレーズに迎合したわけでもないのですが、65歳が定年です。その理由は幾つかありますが、一番大きな理由が次の一点かもしれません。まず、当院のような認知症の病院の看護・介護に最も必要なもの、それはスタッフの『いつも明るい笑顔』。『優しい言葉』。『患者への思いやり』。というのが当院の考え方。その基本は『相手の身になって物事を考えること』、から始まります。この考えが65歳とどう結びつくのか…。偉そうなことを言うようですが、人というもの、人生経験を重ねるたびに相手のことがよく分かる。つまり、『相手の身になって物事を考える』ことが少しずつ出来てくるものだと思うのです。そこで、当院のスタッフも、年を重ねるたびに看護や介護に厚みを増す…というのが持論。もちろん当院の看護・介護はかなりハードですから、体力の許す限りという注釈は付きますが。

    さて本題の『年金』。65歳定年の当院でもチラホラと定年退職者が出始め、団塊の世代にも老後の人生に『年金』が大事な役割を果たす時代に突入します。

    ところが今、この年金制度が土台から崩れかかっているのです。まず、日銀によるマイナス金利。個人的には預金金利は、もともとゼロに等しかったので影響もほぼないと思われます。ではもう一方の住宅ローンは。金利の低下で一番恩恵を受けたのはこれでしょうね。住宅ローンだけで判断すれば「マイナス金利政策」は個人にとって全く有難く見えます。でも老後に向けて一番頼りにする年金制度にはどうでしょう。厚生年金。企業の従業員は年金保険料を月々支払い、事業主負担と合わせて将来の年金給付に備えて積み立てています。その積立金額は現在約130兆円。この溜った資金は国の公的機関が運用し、その35%がこの国の「債権」、つまり国債に回される決まりです。ところがこの「債権」が日銀の政策で利回りがマイナスになってしまったのです。利回りがマイナスの資産に運用投資することは、年金加入者に対しての立派な裏切り行為ですから、何とかしなければなりません。でも、日銀の政策が変わらない限りどうにもならないのです。

    では、残りの65%の運用はどうなっているのでしょう。こちらはやばいです。国内株式や海外証券などリスク資産に投資しています。ハイリスク・ハイリターンですから、運用益も大きいが、株価暴落時等には回復が不可能なほどの損害を被る可能性も大なのです。一種のギャンブルと言えるでしょう。

    ちなみに先月、英国がEU離脱を決定した途端、円は急騰し株価は暴落。この株価急落により厚生年金の運用益は、一時的には一気に34兆円を超すマイナスになったとか。

    国民の将来不安の解消には、社会保障の立て直しが必要なのは誰もが分かっているはずです。当然、負担増や歳出改革も避けては通れない覚悟が要ります。アベノミクスはそうした地道な取り組みを素通りするどころか警鐘すら鳴らすことはしていません。世は参議院選挙の真っただ中。アベノミクスの成否が問われる選挙とも言われていますが、アベノミクスの甘い果実に気を取られていると近い将来、強烈なしっぺ返しを食うかもしれませんよ。それにアベノミクスの命綱は円安に株高。その命綱が英国のEU離脱が引き金になって切れそうな気配なのです。安倍さんならずとも不安ですよね。

    今、この国の社会保障は借金の上に借金を重ねてやり繰りしている制度。いつ瓦解しても不思議ではないのです。いや、もう既に瓦解していると言っても過言ではありません。この社会保障制度の立て直しには余程の覚悟が必要です。アベノミクスでは到底追い着かないと思うのですが…。

     

     常務理事・事務局長 瓦井 洋

  • 2016年6月1日 『薬の毒』

    どんな薬にも副作用がある、という事は以前にも何回か書きました。しかし、その副作用が人の体にどんな作用をするのか、どんな害をなすのか…という事まではあまり深くは考えないようです。

    かく言う私も薬の副作用について真剣に考えるようになったのは、大変お恥ずかしい話なのですがこのセントノア病院を創立してからだと思います。それ以前はこの業界に身を置きながらも全て医者任せで、薬の副作用についてなど、対岸の火事ほどにも考えていませんでした。多分皆さんもそうではないかと思いますがどうでしょうか。

    つらつら思うに、あまり興味を持たないという原因の一つには、副作用という言葉自体もいけないのではないかと思います。まあ、副作用があったとしても薬の作用の一部だし、きっと大したことはないだろう、と何となく軽く考えていないでしょうか。

    そこで提案なのですが、この「副作用」を「薬の毒」と入れ替えてみたらどうでしょう。少しはインパクトを感じるかも知れませんよ。

    実際にインパクトのある話をしましょうか。韓国でのお話です。もう暖房時期はとっくに過ぎてしまいましたが、韓国の冬の暖房はオンドルという床暖房が主流だそうです。そしてその床暖は部屋の空気をかなり乾燥させてしまいますので、加湿器が必需品になるようなのです。その加湿器にまつわる話です。

    どんな加湿器でも使用しているうちに雑菌が繁殖します。その雑菌を駆除するため、加湿器用殺菌剤が韓国内で売り出されました。2001年のことです。

    加湿器には大まかに、超音波加湿器とスチーム加湿器の二つのタイプがありますが、殺菌剤が使われたのは水を超音波振動で細かい粒子にして噴出させる、超音波加湿器です。このタイプは繁殖した雑菌も一緒に噴出してしまいますから、雑菌を駆除するために殺菌剤が必要だという事になったようです。

    問題となったのはこの殺菌剤です。殺菌剤の主成分等の説明は省きますが、この薬剤は消毒薬や農薬等に使われる化学物質だそうで、皮膚にはあまり影響ありませんが、微粒子となった水と一緒に肺に入ると、呼吸器不全や呼吸困難を引き起こすそうです。まさかね、まさか雑菌を駆除してくれる殺菌剤に、人間をも殺傷する毒性があるとは…ね。さらに悪いことに、この加湿器用殺菌剤は、2011年に販売禁止になるまでの10年間、毎年春に呼吸器疾患の患者が激増したにもかかわらず何の手も打たずに放置されたため、100人以上の患者が死亡するという事件にまで発展してしまったのです。

    他人事ではありませんよ。除菌を売りにしている製品はこの日本でも沢山あります。台所用の洗剤をはじめ、洗濯用の洗剤や柔軟剤。消臭剤に除菌消臭水。除菌をし、消臭する製品は清潔志向の強い日本人にはごく当たり前に身近にありますが、菌を駆除するためには、多かれ少なかれ毒を使うという事なのです。小さいお子さんやお年寄りは特に気を付けてくださいね。

    昔からよく言うじゃないですか。

    「毒には毒を持って制す」って。アレ?

     

     常務理事・事務局長 瓦井 洋

  • 2016年5月1日 『閑話休題』

    近頃、明るい話題がとても少ない。新聞やテレビを見ていても暗い話題ばかり。期待されたアベノミクスも発想と掛け声は良かったのに実績は今一つ。景気も相変わらず横ばい。安倍さんは、一昨年に続いてまたまた介護職の給与を1万円アップさせるのだそうな。そして保育士の給与も最低でも6千円以上アップさせるとか。本当に掛け声だけは良いのですが…。

    「笛吹けど踊らず」はどこの世界にもありますが、国民を躍らせたいのなら、自ら陣頭指揮をしなければそう簡単には踊らないと思いますよ、総理。

    さて、大笑いは出来ませんが、ニヤっとする程度の話題をひとつ。

    中国人の爆買は有名ですが、もう一つ、中国には世界に冠たる技術があります。それはブランド品の偽造技術です。ブランド品の偽造は当然、違法行為ですから処罰されます。これは笑えません。では、商標登録はどうでしょう。これも中国には日本の企業は散々泣かされています。

    ではその商標登録の話をしましょうか。皆さんは「フランク・ミュラー」と言うブランドをご存知でしょうか。そうです。大人の男性の憧れの一つ、スイスの高級腕時計のブランド名です。

    実は、その「フランク・ミュラー」と、大阪の時計メーカーが商標登録の裁判で争ったのです。もちろん本家は『フランク・ミュラー』。そして大阪の時計メーカーが登録した商標は『フランク・三浦』。

    どうです。パロディとしても、語呂合わせにしても、面白いと思いませんか。

    ところが、ユーモアの欠片もない特許庁は、「全体の語感が似ていて紛らわしい」として、商標を「無効」と判断してしまったのです。当然「三浦」は黙っていません。さっそくそれを不服として知財高裁に提訴したわけです。

    とにかくこの二つの腕時計は、中身はともかく外観はとてもよく似ているのです。さあてさて裁判所の判断はいかに…。

    『フランク・ミュラー』はスイスの時計師が自分の名をつけて立ち上げたブランド。超高級時計として世界中に知られ、価格も100万円を超えるものが多いのです。一方、『フランク・三浦』はごく普通の時計の製造や輸入販売が本業の会社が製造し、価格も4〜6千円程度。いくらちょっと見が似ているからと言って虎と猫を比べるようなものです。結果は、『フランク・三浦』が本家に勝訴しました。

    知財高裁は「連想はするが明らかに日本語の三浦が含まれる」「多くが100万円を超える高級腕時計と4〜6千円程度の『三浦』を混同するとは到底思えない」として商標登録できると判断したのです。

    もともと『フランク・三浦』のホームページでは、「完全非防水」「ノーマル球面プラスチックを採用」等々、パロディとしか思えない文言が並び、それがまたジワジワと人気を呼んでいたそうです。

    偽造や模造品は駄目ですが、思わず笑っちゃうような『優れたパロディ』なら、あのいかめしい「知財高裁」も咎めることは出来なかったそうな。

    誰も笑わなかった社長のジョーク。そこから生まれた「フランク・三浦」。スイスの本家は面白くないでしょうが、どうぞ苦笑いで済ませて下さいな。

     

     常務理事・事務局長 瓦井 洋

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