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2016年7月

『家庭医制度再考、基礎医療と専門医療の分離を』

 

新専門医制度が決まり、質を高める意向は結構だが大事な事を忘れていないだろうか。医者がみな専門医を目指し専門医ばかり増えても患者全てを診療できるだろうか。欧米諸国と日本の医療制度の根本的な違いは何か?それは一次ケア(=プライマリ・ケア:日常的な病気やけがを診る。以降、一次医療と呼ぶ)と専門治療が分かれているかどうかだ。日本では一次医療は開業医や中小・大病院で扱う。専門治療と一次医療が区別されず検査も重なるなど極めて非効率でムダが多い。両者を分ければ余計な検査は避けられ医療費は大幅に削減できる。抜本的改革を行わないと近い将来、日本の医療制度は破綻するだろう。

一次医療とは内科、小児科、外科、産婦人科、整形外科、皮膚科、眼科等あらゆる分野の初期治療だ。内科ではインスリン治療を含め内科領域全般、他科との境界領域の病気も扱う。小児科領域では感染症を主に相当数を受け持つ。妊婦検診やうつ病患者へのアドバイス、肩関節等の脱臼の整復も扱う。つまり内科全般以外は他科の基礎的診療を行う。従来開業医が担当してきた診療内容を相当上回る。その一次医療を担当する家庭医は、海外では専門医の一種で数年以上の研修医期間を経て専門研修を3年以上要する。患者は一次医療を受け、更に専門的治療や入院治療が必要なら専門医や他の二次、三次病院に回される。現段階ではそんな家庭医制度を創り内科系開業医を中心に再教育すればよい。

欧米諸国で家庭医制度がある国では一次医療を担当するのは家庭医。住民は誰でも近くの家庭医を自由に選んで登録(自動的にかかりつけ医に)する。病気やケガをしたらまず家庭医を受診、入院治療や専門的治療が必要なら中小病院や専門医を紹介され、更に高度の医療を要する時は大病院や大学病院に行く。こうして一次医療と二次・三次医療等の専門的治療を分け各々家庭医と専門医が担当する。救急患者は救急病院が扱う。カゼで大学病院や大病院に行くことはない。一次医療と専門治療の明確な分離・役割分担だ。

日本のように一次医療を担当する医者を決めないと開業医、中小・大・大学病院と様々な医療機関が関わり混乱する。一次医療の担当を家庭医に決めれば効率的で内容も充実する。つまり、医師を一次医療=プライマリ・ケアを担当する家庭医と、入院・専門的治療の二次、三次医療等を担当する専門医の二つに分ければ、複数の病院を受診する無駄が省け、X線やCT等の画像や血液検査データ等も共有でき、医療費は大幅に削減され、専門医は専門分野に専念できる。それに癌や心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、呼吸器疾患等の記録が蓄積され住民の病歴把握や健康管理にも活かせる。

日本全国を見渡すと多くの医療過疎地域がある。一次医療担当の家庭医と専門治療担当の専門医に分け各地域に均等に家庭医を置き多少濃淡をつければ初期治療はまかなえ医療過疎はなくなる。更に中小病院・専門医や大病院の配置を考え一部を移動する。医師が最近の知識・技術習得や他科への転科希望があれば、地域ごと基幹病院を定めて一定期間ごとに各地域を移動し研修できるようにすればよい。大学病院は各都道府県にあるから現状で足りる。また各中小・大病院も配置を変えると患者の過不足の問題が解決するだろう。なぜなら家庭医一人当たりの担当住民の数を一定(例えば2000人)にすると、そのうち病気やけがをした人や妊婦さん等が家庭医を受診することになる。病気になる確率は同様だから患者数はどこの施設でも大差ないだろう。将来不足が予想される外科系や小児科、麻酔科などでは専門医を増やしバランスをとるとよい。

 

医師  沢田 實