春日部セントノア病院

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2017年5月

『傾聴』

当院で患者さんの治療に携わって10年。患者さんと一緒に泣いたり笑ったりしながら寄り添ってきましたが、その中で最も多くの時間を割いたのが患者さんの心や過ごしてきた人生の話を聴くことでした。入院後3か月くらいは隣に座って、又はベッドサイドでただひたすら話を聴きました。

入院当初、患者さんが異口同音に口にする「家に帰りたい」「退院したい」との切実な要求も、言葉に詰まりながら聴きました。患者さんの話を聴くことでその患者さんの「問題行動」が「その人の心の表現」として対応のヒントであることを教えてもらったと思っています。

認知症のケアは患者さんの意向を尊重し、敬意と共感を持って対応することが重要です。ケアの技法として現在、次の三つの技法があります。

パーソンセンタードケア:イギリスのトム・キットウッドが提唱
@ 認知症の存在自体の絶対的価値
A 自主性を尊重したアプロ―チ
B その人の視点からの理解
C ニーズを満たし支えあう環境の提供

バリデーション:アメリカのナオミ・フェイルが提唱
認知症の感じている世界や現実を否定せず、寄り添うことを原則とする。認知症の混乱した行動の裏には必ず理由があると考える。認知症を「認知の混乱」「日時季節の混乱」「繰り返し動作」「植物人間」と四段階の変化として捉え 多段化に応じた関わり方をすすめている。

ユマニチュード:フランスのイヴユス・ギネステとロセッテ・マレスコティが開発
包括的コミュニケーションに基づいた技法。「あなたは大切な存在である」というメッセージを相手が理解できる形で伝えることを目的としている。「見る、話す、触れる、立つ」の援助を柱としている。

認知症のケア、治療の原則は
@ 患者さんの尊厳:患者さん本位でその人らしく生きられるように。
A 安心、生の充実:叱責されない、否定されない環境で安心快適に。
B 自立支援とリハビリで残存している認知機能を見極めて、何らかの役割の賦与により、心身の力の発揮を支援する。
C 安全、健康、予防、余病併発に注意して、安全健やかなQOLの達成(医療職とケア職の連携)。
D 家族や地域とともに進むケア:なじみの暮らしの環境を継続する(認知症治療ガイドライン2010)。

当院の治療もこのガイドラインに沿って実施しています。

 

精神科医  佐々木 昭子