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老人性認知症疾患専門病院

2017/4/1
病院短信

『認知症患者に対するハイブリッド医療の可能性』


高齢化社会において、認知症問題は医療上だけでなく、多くの社会や家族の問題として喫緊の課題で、各方面から検討されているが、対策は未だに十分とは言えない現状である。

現代医薬品の開発も進められており、病態の進行度の軽度・中等度・高度と程度に応じた処方を選択することができるようになりつつある。現代脳科学の進歩は著しいものがあり、近い将来には認知症が解明されて、治療法も開発されることを期待したい。

東洋医学的にも認知症対策は検討が進められており、漢方薬では最近では神経症に利用される抑肝散がよく応用されている。その他、類似処方では抑肝散加陳皮半夏・甘麦大棗湯・加味帰脾湯・その他も症例や状態に応じて選択されている。東洋医学的手技の鍼灸治療も検討されている。脳血流改善促進を目的とする老人病研究会推薦の三焦鍼法、山元敏勝博士の山元式新頭鍼療法、伝統的な中国式頭鍼療法や経穴経路注射療法などの各手法が利用されている。これらの鍼治療法などは原則として、保険診療では認められていないので一般的ではないが、やはり個人の病態や症状に応じて単独または他の治療法と併用すると、副作用も少なく、進行の抑制に効果的な症例が散見されるので、今後の基礎的臨床的検討に期待したい。

リハビリテーションも重要な要素で、全身的運動や首・肩・上肢の運動や、片手にクルミを二個持って手の中でそれを上下に回転させる古典的な手指の運動なども有用性が示唆される。楽しくて、何回もやりたくなるようなゲーム感覚や、または遊び感覚で出来るような運動なども、脳に刺激が加わって良いのではないかと推察される。

頭や指を使って楽しむゲームでは、伝統的な中国の麻雀や現代のテレビゲームなどもギャンブルとしてではなく、リハビリとして利用しては如何なものかと思料される。

頭部・後頚部・肩を中心として、腰背部・四肢の指圧やマッサージ、ヘッドスパなども、家族がいるならばコミュニケーションやスキンシップとして利用しても良いし、自分では入浴中や入浴後にやるのも良いだろう。これらはいずれも適度にやることが重要で、無理と飲酒後は禁物である。

以上のように、現代医学的治療と東洋医学的治療とのハイブリッド治療として上手く組み合わせながら、少しでも予防や未病の状態で進行の抑制に繋がることを期待して、日進月歩の医療が認知症の予防や治療も出来るようになることを念じるものである。

医師  黒川 胤臣