『使命感』
皆様あけましておめでとうございます。昨年は東日本大震災とそれに続く原発事故で、日本中が心を痛めた日々でした。今年は大事故が起こらないよう、世界の平和を祈るばかりです。
昨年私は大学卒業後50年を迎えました。振り返ると、様々な可能性にチャレンジした日々でした。スタートは小児科医として30年。この後10年間保健福祉行政に携わり定年退職後、当時としては数少ない認知症専門のこの病院の開設時より勤め、この2月で10年目を迎えます。50年間私を支えていたものは何であったかと考える時、医療の世界にいても行政の世界にいても(どのポジションにいようとも)『医師としての使命感』だったと思っています。
幼い時よりナイチンゲールに憧れて病める人、貧しい人のための医師になろうと決めていた日々。耳鼻科の女医さんの処置を真似て、襖に穴を開けて耳処置をして叱られた日。野口英世や北里柴三郎の伝記を好んで読んでいました。理想に燃えて小児科医として日夜頑張った日々、夜中の病室で聞いた赤ん坊の泣き声が日本で1例目の猫泣き症候群(染色体異常)の発見につながったこともなつかしい。
50年たった今、 社会構造、人口構成も変化し、医学・医療の世界は格段に進歩しました。様々な疾病や難病の治療法を開発し患者を助ける事も大切ですが、現実には治療法が確立されていない疾患は数多くあります。認知症もそのひとつです。原因に関する研究、治療法が世界的に研究されてはいても、進行を止める薬はあっても、予防薬、治療薬は確立されていないのが現状です。又、高齢化社会にあって医療のあり方、延命治療のあり方が問われています。理想の治療と経済のバランス、家庭環境の状況、本人の延命治療に対する考え方、特に認知症にあっては延命に対する本人の意思の確認の難しさ等々、日々悩む事の多い問題があります。
どの様な状況にあろうとも医師として“命の尊厳を守る事”を基本に、医師としての使命感を持って仕事を続けたいと思っています。皆様に支えられて今年も頑張って行きます。良いお年でありますように!
遠富士を雄々しく映し冬茜
重ねきし齢いとしみ柚湯浴ぶ
院長 浦野 純子