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老人性認知症疾患専門病院

2016/9/1
病院短信

『リオ・オリンピックこぼれ話』


リオでは日本選手の活躍は本当に素晴らしく、感動・感激し、そして感謝した。選手達は気力・体力・技術力を磨いてきているが、今回もドーピング問題は直前まで国際問題にまで及んでいた。薬物の力を借りないで体を扶助してくれるものを世界中で検討されている。リオでは欧米の一部の水泳選手がカッピングを受けて泳いでいる写真がマスコミの一部で報道され話題となった。これは薬物を利用しない東洋医学の一つの手法で、大変興味深く驚かされた。日本でも東洋医学を知っている人は誰でも知っており、利用されているが余り一般的ではない。日本選手がこれを利用したかは不明だが、一部では鍼灸を利用している選手がいることは承知している。

日本でも未だに東洋医学は古典的医学であり、近代的・先進的医学ではないとみられている。昭和五十年代にようやく漢方薬エキス剤のみが保険診療で認められたが、カッピングを含む鍼灸など他の手技・手法は認められていない。

富国強兵を掲げた明治政府のある高名な重鎮によって、西洋医学に切り替える為に東洋医学は封印された。このお陰で先進国並みに医学は近代化した。しかし、今回の水泳選手からもわかるように、欧米では有効で安全なことは新旧に関わらず利用している。実は既に欧米では東洋医学の現代的見直しが検討され臨床的に進められており、鍼灸だけでなく経穴・経絡いわゆるツボを利用した医療が近代的に応用されているので、日本は遅れをとっている感がしている。

しかしながら、既に日本でも心ある一部の医師達は数十年も前から欧米に匹敵するツボ療法の臨床的検討をしており、経験やエビデンスを積み上げている。これらの技術的経験を応用すれば、先進的・先端的医療と肩を並べることは出来ないが、それらの有効性や安全性を補助・補充して発展させる役割を担う可能性は十分に示唆され、実際にはスポーツ選手や高齢者にも幅広く優しい医療を提供している。では、先進医療のために具体的にどうしたらいいのかを、誰が・何時・何処で判断するか?それは先進医療の問題点と東洋医学の特徴を同等に把握している臨床家が最も適していると考えられるが、残念ながら人材は少ない。

基本的に西洋医学は病因・病態を直接的攻撃・排除して生体を保護するので、即効的とされている。東洋医学は自己修復能力を高めて生体の正常化を図るので、遅効的と考えられている。実はカッピングを含めて、いわゆるツボ治療は即効性もあるが、持続性が弱点である。しかし、ツボ治療は個別に現代医薬品を利用すれば、薬物の副作用を抑制して効果を高め、即効性や持続性も得られることが認められている。因みに東洋医学を封印した明治政府のある高名な重鎮は、晩年になって東洋医学を封印したことを後悔したといわれるが、一旦作られた制度は簡単には変えられないことは、いつの時代も同じようだ。

東西医学の差は科学的か否かという問題とエビデンスの問題も未だに問われている。東洋医学は非科学的といわれるが、起こっている現象は事実としてとらえて、今後も現代医学的に検討を加えられることを期待したい。

内科医  黒川 胤臣